黑世界 観劇感想

黑世界観劇してきた

レポなんてほどちゃんとしているわけでもなく、ただの感想です。

まだまだ公演は続くので一応ネタバレ配慮のために、ネタバレありの感想は下に分けて書きます。

 

9月22日の日和の章を配信で、9月26日の雨下の章をサンシャイン劇場で見てきました。日和はまだ劇場で見れていない(今後行く予定あり)ので、厳密にはどちらも観劇できたとは言えないのかもしれませんが、自分の中で感想を書ききってから、人の感想を読もうと決めたので、内容について出そろった今書いてしまおうと思います。

 

trump2020.westage.jp

 

 

 

 

ネタバレなしの感想

というかただの備忘録。

サンシャインで演劇を見るのも、マリーゴールド以来だったのでなんだか懐かしかったです。マリーゴールドの時の、当日券すら完売してギュウギュウだったサンシャイン劇場を見ているから、満員でもこの人数なのか・・・と思わずにはいられなかったけど、生で演技を見れる世の中に戻ってきたことに、まずは感謝ですね。

 

あとすごくどうでもいいけど、自分の目が思ったより悪くなってて、男性陣の区別が微妙につかないまま見ていました。コンタクト変えに行かなきゃな。

 

雨下のみ劇場で見た贔屓目もあるかもしれませんが、純粋に芝居と歌のうまさで言えば雨下に軍配が上がるかなあというかんじ。

脚本の緻密さでいうと、日和の方が上かなと思います。

とはいうものの、どちらもバランスの整った並び・分量の短編集で、そんなにブツ切れな印象もなく、楽しく見れました。

 

日和の章

末満脚本の3つはつながりのある話なわけですが、TRUMPシリーズのいつも通りの仄暗さ、過酷であるが故の綺麗さがあってよかったし、それ以外の3つの本もどれもよくできたお話だなあ、と思いました。綺麗な脚本ですね。

日和の章って題名だけあって、確かに明るくて暖かくて。最後なんてあんな風にしめられるなんて思ってなかった。いい話。

 

後、双子のお二人の顔がとても良かったです。かわいい。

 

雨下の章

凄みのある舞台でした。圧がすごい。この表現はちょっと違うかもだけど、こっちの方がリリーが主役感がある、というか、よりリリーが中心にいる感じがしました。

 

この後ネタバレあり感想↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

(ネタバレとしていますが、一回しか見てない上に他の人の感想を読んでもいないので、内容や語句を間違って捉えている箇所もあるかと思います。)

(内容を見ている前提で好き勝手に書いたので、この感想だけ見ても話の筋はわからないやつです。)

雨下の章

めっっっっっっちゃリリウムに重ねてくるじゃん・・・と冒頭から頭抱えてしまいました。日和より時系列的にリリウムに近いこともあるのか、その記憶がより鮮明で、強いのかなあとも思ったり。

 

シュカの髪が強すぎて、あれ以外の役できないよなあと思いました。(笑)

 

1、イデアの闖入者

  • チェリー(仮)の「いわゆるあんたの・・・ってやつね」ってなんだったんだろう。どういう意味があるんだろうか。
  • 結構突然「お前チェリーな!」くらいの勢いで名前が決まったので笑えました。

 

  • イデア・・・リリーの理想としては、ああして繭期を超えて家に帰ってクランでの様子をパパやママに報告することだったのかなあ。リリーは私がクランを壊したっていうけど、リリーがクランを壊さなくたって、クランに800年もいたのだからその間に両親は亡くなっているわけで、その理想がかなうことはなかったんだよなあっていう・・・だいたいファルスのせいです。

 

  • これはオタクの戯言ですが、ああしてチェリーがクランの仲間のことを、過去のこととして話して聞かせるのを見ると、鞘師の今の状況と重なってしまって感慨深かったです。あの頃の思い出を語ってる様を見せられている気持ちになる、というか。特別好きなメンバーではなかったけれど、それでもそれを意識せずにはいられませんでした。

 

  • シュカさん、我守護キャンセルしてたけど、実際にあの人がしたこととしては「我は守護者なり」でも間違いじゃないですよね。見ているだけ、と言いつつ、見ているだけになる前もそのあとのピンチでもリリーを守ってくれているし。いや、彼がもし「我は守護者なり」を完全に自認してしまっていればもうそれは守護失敗フラグでしかないので否定してくれていいんだけども(笑)

 

2、ついでいくもの、こえていくこと

 

  • 雨がめちゃくちゃ迷惑かけてくる話。そして普通にいい話。

 

  • 尺の都合もあるだろうけど、弟子と親方二人そのもの関係性の描写があまりない、というか弟子への踏み込みがあっさり目なのが少しもったいないような感じはしました。

 

  • 怪我した親方のところにリリーが行った時「そこにいるのは誰だい?」「私です」「おお、姉ちゃんか」っていう会話があったから、この世界でリリーは敢えて名乗らないことにしてるのかなあと思ったけど、他の章見てたらそういうわけでもなかった。

 

  • 親方がいう”永遠”は、技術の継承って事だからつまり、理論的にはダミアンコピーと同じタイプの永遠ですね(白目)

 

3、求めろ捧げろ待っていろ

 

  • いや、とにかくヤベーーー話
  • ヤバイ、ヤバすぎる

 

  • この話のハンター過激ファンの女の人(役名が思い出せない)の台詞の声の調子が、なんだか聞き取りづらくなる方向についてて、うーんと思いました。

 

  • 何を差し引いてもヤバイ話

 

  • 過激ファンなのに「もっと守って私」じゃなくて、「もっと守って私”たち”」なのが、分を弁えたオタクって感じでいいなと思いました(笑)

 

  • リリーって繭期の具合が良くないとこんなに大変そうなんですね。普通にいろいろ不便そう。リリーの繭期が良くなくても、チェリーは特に変わらないのはもう完全に分離した人格だからって事だろうか

 

4、少女を写す鏡

 

  • ここで、ああキャストに大久保さんいたなあって思い出しました(笑)

 

  • 綺麗で構成が凝った話。

 

  • なんでリリーはシュカに外に出してもらわなかったのか。本当に同情なんて陳腐な言葉で表現できるような理由からだったんだろうか。

 

  • 「どこからどう見ても○歳よ」が、日和とは全く違った意味で効いてくるのが刺さる。

 

  • アイダの繭期は身体の年齢ではなくて、実年齢に合わせて来たって事なのかな。アイダの様子を見るに精神年齢も5倍というわけではなさそうだったし、繭期は精神的な面からくるものなのかな。なにせトランプとのつながりだし。

 

 

5、馬車の日

 

  • ホラーで怖かったです。普通に怖くて、これがもうちょっと長かったら本当に無理になった気がするくらいには怖かった。

 

  • いやヘーゼルがイニシアチブとってんだから、こんな謎ループ繰り返す必要なくない?いくらでもやりようあるじゃん。
  • とは思ってしまった。けど、我々はもうすでにイニシアチブを取られた実例もその利用方法もたくさん見てきてしまっているからそう思うのであって、そういうイニシアチブの利用法はこの世界における常識ではないんだろうなあと改めて確認させられた感じがする。他人を噛むのは禁止されている世の中では、普通の人は、イニシアチブ取った後こういう風に使えるみたいな実体験持つ人も少ないだろうし、詳しい教育もされないだろうし。イニシアチブで感情や記憶を改変する、なんて思いつきもしなかった可能性はあるよね。知ってても変に常識人だったせいで、感情の改変はよくないと思っていた可能性もあるし。

まーーとはいうものの、繭期の子何人も拐って殺して、お母さんに自分が認識されなくて辛いのに、ループしても何も解決しないのに、それでもそのループを繰り返すというまでのことをするより先にイニシアチブを利用しない意味って何????という気持ちは消えない・・・

 

 

6、枯れゆくウル

 

  • シュカの長い独白の間、お人形のように固まったリリーが切なかった。

 

  • リリーはイデアの時にシュカに会うのが初めてのような反応をしていたけど、その時のことは忘れてしまっていた、というか記憶が固まったままだったのかなあ
  • 実験室にいる頃のリリーはクランの仲間を殺した罪を悔いたりすることもなかったんだろうか。

 

  • リリーはシュカのことを許すことにしたって言ってたけど、日和の時教会で許せる許せない論争してたことも思うと、本当はそもそもソフィ・アンダーソン以外に対してそんなに怒ったり憎んだりしてないんじゃないかと思いました。

 

  • TRUMP(広義)をちゃんと追えてるシュカさんすごくない?ヴラド機関がクラウスもソフィも見つけれてなくて、リリーも取り逃して追えなくなってる中で、100年間ずっと見れてるってある意味一番役目を果たせてるのではないでしょうか。
  • ウルへの適合ってことはシュカさんは不老だけど不死ではないはずだから、その点でもリリーを見てるってそこそこに大変なはずよね。

 

  • シュカとリリーの歌っていた曲がリリウムのあの曲の旋律に似ているように感じた箇所があったんですが、あえてなのかな

 

 

純潔のライネス、どうしてこんなにも刺さるんだろう。まだ言語化できないけど、どうしようもなく心が震えた。

 

 

 

 

日和の章

末満おじさんが、「日和で新良さん演じる役がなんでそんな名前なんだろうって思ってから、雨下を見てああそうだったのねってなるといいよ」みたいなことを言っていたので、雨下を見に行く前に日和を配信で見ました。

そんなことを言っていたから構えていたのだけど、新良さんの役名はなんでもないタイミングでさらっと出てきたのでなんだか面白かったです。

 

全体通して、朴さんの使い方がとても頭良かった。もちろん演技がお上手であることが大前提でそこに敬意は表したいのですが、もはや朴さんの技量を前提として作られたような内容ですごかったです。

 

1、家族ごっこ

  • 雨見てから気づいたけど、いろいろ対比なんですね。

実際にした家族ごっこと、リリーの中だけで(夢で)みた理想の家族と、

片親・もらい子・歪なママの一般的でない家族(そう呼ぶのは現代において正しくないかもしれませんが)と、父・母・娘の型通りの家族と

 

  • リリーにとって穏やかな時間を見れてよかったです。子どもにたいしてこんなに暖かく接することができる子なんだなあと微笑ましく思いました。

 

 

2、青いバラの教会

 

  • とてもいい話だった気がする(雑)

 

  • 朴さんの演技すごいなあ

 

  • いつか許されるために生きておいてってとんでもない呪いですよね。でもそれを受け入れるだけの罪の意識があるってことなんでしょう。

 

 

3、静かな村の賑やかなふたり

 

  • ああ岩井くんだ、ってすぐわかるようなお話でした(笑)
  • 特に彼女が待ち合わせに遅刻して走ってるあたりの独白はもろ岩井くんですごくよかったです(笑)

 

  • コメディなんだけど、その設定に説得力があるのが強いですよね。リリウムでチラっと人間が吸血種について間違った情報を持っているという話はあったけど、これまでのシリーズでは吸血種についてそれなりに正しい知識を持った人間ばかりだったので、その点に切り込んだ内容は逆に新鮮でした。

 

  • 彼女さん可愛い・・・ソーシャルディスタンスキッス・・・

 

 

4、血と記憶

 

  • 最初の方のチェリーの「あの嫌なバンパイアハンターさえいなければ再会が地に濡れることもなかったのに」(ざっくり)っていうセリフがやけに頭に残って、それが片隅にありながら聞いていたんですが、いうほどこの人のせいでもなくない?と思いました。
  • まあこの人の爆薬のせいで坑道壊れてノク死んじゃったしこいつのせいか(適当)

 

  • ラッカが人を殺したことも血に濡れたといえばそうなんだけど、ヴラド機関にいれば多かれ少なかれ、または直接的であれ間接的であれ、どこかしらで人を殺していそう(偏見)ではあるのでノーカンかなって・・・

 

  • 岩に押しつぶされたりリリーが地下水脈に入って・・・の件は文言から想像される内容だけでも気持ち悪かったのに、再生し始めたところの鞘師の動きが気持ち悪すぎた(褒めてる)。怖かったです。

 

 

5、二本の鎖

 

  • よくできたお話ですね、本当に。

 

  • もうどっちがどっちで誰がどう悪かったのかも分からなくなって、結局多分どっちも悪くない二人。繭期が明けてさえ仕舞えば、きっと穏やかな暮らしでしょうね。

 

 

6、百年の孤独

 

  • ラッカが自分で吸血種の中でも長生きって言ってたけど120歳くらいですよね?本当に長生きだなあ。

 

  • もう会わないって言ってたリリーがあっさり会って記憶返しちゃうんだって意外にも感じたけど、スノウが言ってたレクイエムを捧げることなのかなと思いました。

 

  • 何度でもいうけど朴さんの使い方すごいなあ

 

  • てかハッピーエンドじゃん・・・こんな穏やかで優しい終わりってある???「なんだかんだいい奴らだったわよね」じゃないよ・・・ハッピーエンドじゃん・・・

 

  • 少女純潔。「永遠の旅路をゆけ」という言葉はこうして旅するリリーを見てしまうと更に重くのしかかってきますね。

 

二本通して思ったこと

 

リリー、高潔で独善的で、変わっていなかった。

ソフィはファルスになるまでの間に自分を罪を悔いたのかなあって考えてみたけど、不老不死にされた直後のソフィはリリーほどの罪は持ってなかったか。

クランを終わらせてから、最初の300年くらいの間のリリーは変わっていなかったし狂ってしまいたくないと思っていたわけだけど、最初の300年くらいのソフィはまだ気高くいたんだろうか。早々に狂ってしまったんだろうか。

 

今までのシリーズでも察してはいたけど、人間と吸血種って結構近いところに住んでるんですね。それで不可侵ってそりゃ難しいものもあるでしょう。

 

お約束(我守護、星に手を伸ばすなど)は二作で分け合う形なんですね。

 

どちらも人が生きては死んでいく様子を繰り返し見せられるものだったけれど、これがTRUE OF VAMP(歌)でいう「愛する人たちの命の火がただ消えるのを待つばかり」ってことなんでしょうね。「それが不死なる運命」ってやはり辛いよね。

 

前からずっと気になっていたんだけど、リリーはソフィに会えたところで死ねるんだろうか。ファルスはTRUMPが望めば死ねることが確定している(血の戦争の時に起こっているのが確認済み)から、クラウスを探しているのはいいとしても、リリーってウル(薬)によってファルスと同化した存在で、しかもソフィよりもイニシアチブの序列が上にあるわけですよね?イニシアチブが効く状態ならまだソフィに死を望まれることに意味がありそうだけどそういうわけでもないし、たとえソフィが望んだところでソフィは死にたいと思ってる自分を殺せてないわけだから、その殺せてない存在と同化したリリーのことも死なせてあげられないと思うんだけど・・・ソフィを探してる理由って何か他に明言されていましたっけ。

 

そしてそれに関連することだけど、リリーはまだクラウスの存在には気づいていないのかな。ヴラドの実験室にいる頃に小耳に挟んだりしたかな?ソフィもTRUMPに不老不死を与えられただけのファルスだってことはもう知ったかな?

リリーは彼女の中での倫理観を強く持っているから、ソフィの生い立ちを知ったところで許してはくれないだろうけど、何か感情が変わる部分もあるんじゃないだろうか。

 

 

 

 

最後に

黑世界、日和も雨下も大満足ではありました。

このご時世で、芝居が見れて歌が聞けることのありがたみも感じながら、配信と観劇を続けたいと思います。

 

オープニングもエンディングもいいなあ・・・